二度目の初恋
私は急いで玄関にいる柴田さんに声を掛ける。

「あの。柴田さん」

「あ~。家政婦さん」

振り返ると少しバツの悪そうに口を歪めた。

「あの…私もあがった方がいいですよね」

柴田さんはリビングの方に視線を向けると小さく頷いた。

「こんなこと滅多にないんだけどね。私も理由がわからなくて」

何があったのかわからない私は返す言葉も見つからずただ頷いていた。

「じゃあ…私も夕飯をテーブルに置いたらすぐに帰ります。お疲れ様でした」

「お疲れ様」

私はキッチンに戻ると出来上がった料理をテーブルに置いた。

そしてエプロンを外しバッグにしまいいつでも帰れる準備をしてから声を掛ける。

「あの…夕飯できました。それと…私も今日は失礼いたします」

だが理人の返事が聞こえない。

少しだけ距離を縮めてもう一度声を掛けるがやはり返事はない。

無視されているのかとさらに近づくと理人は眠っていて胸の上には雑誌が乗っていた。

その雑誌に写っている人物に絶句してしまった。
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