二度目の初恋
「り、理人さん!私くみちゃんじゃないです!」

私は上半身を左右に動かしながら2度、言葉を繰り返すと抱きしめられた腕の力が

一瞬緩んだ。私はそのタイミングを逃すまいとさっと距離をとった。

「え?何やってんの?お前」

理人さんも目が覚めたのか一瞬キョトンとしたがすぐに状況が掴めず私を突き放した。

すると私はバランスを崩し床に尻餅をついてしまう。

「いたた…」

「あっ!ごめん」

理人は私を起き上がらせようと手を差し伸べてきたが私も動揺してしまいその手を取れず自分から

起き上がる。

「あのさ…どうしてこんな状況になってんの?」

理人も視線を泳がせて動揺している。たしかに今のは寝ぼけていたから仕方がないことだけど…

「夕飯が出来たのと…帰ろうと思って声を掛けたら理人さん、
私を他の方と間違えて抱きしめたんです」

私が説明すると理人の顔が一瞬で真っ赤になる。

「俺、なんて言った?」

焦った様子で問われる。

「…くみちゃんって」

今の状況で『絶対別れないから』って言葉は言わない方がいいと思い名前だけを告げると

理人は頭を抱えながらドカッとソファに座った。
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