ダブル王子さまにはご注意を!



私は単に巻き込まれただけ。そうたかをくくっていた。だからもう大丈夫、と考えたのだけど。


足音が途切れることなくぴたりと後を着けていると知った時、ぞわっと全身が総毛立った。


(なんで……私を? 私は関係ないのに!)


ダッシュで走り出した。落ち葉を踏み鳴らしながら木々の間を走り抜ける。


「はぁ、はぁ……」


わき腹が、痛い。足の内側が痒い。心臓がうるさくて息が苦しい……


ひんやりした空気が頬を冷やし、清涼な林の匂いを感じた。

薮で、手のひらを切って。その痛みにトクン、と心臓が一瞬はね上がる。


(……助けて!)


一瞬――本当に一瞬だけ脳裏に浮かんだのは、今とまったく同じ光景。冷たい空気の中――落ち葉を踏みながら走ってた。


(……なに、これ? 私……こんなの知らない。こんな夜に鬼ごっこでもしてたの?)


けど、その時感じたかもしれない恐怖が今甦ったのか。伝染した怖さが身体をカタカタと震わせた。


「来ないでよ……」


思わず、口走ってた。


「来ないで、ったら!」


私は手にした木の枝や石を投げ、そのまま身体を翻して走り出した。


(狙われてるの……私、だった!?)


なぜか、はっきりとそう自覚してた。



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