ダブル王子さまにはご注意を!




「すみません、大丈夫ですか!?」


女性のお客さまは慌てて謝ってくるけれど、私はパタパタと手を振って平気とアピールした。


「こちらの不注意ですし、大丈夫です。それよりお客さまこそおケガは?」

「はい、私は全然……」


お客さまの視線がこちらの顔でなく、私の後ろに向かっていくのを感じた。それはつまり私がご案内中の男性客のいらっしゃる方で。


ベビーカーを傍らに置いた若奥様は、頬を染めてそのイケメン様をご覧になってます。


(おお~い! 子どもと旦那さんいらっしゃるのにいいんですか)


私が思わず心の中で突っ込んでいると、若奥様はなぜか短い悲鳴を上げてますます顔を赤らめる。何事か? と後ろを振り返って即納得。


まばゆすぎるイケメン様の笑顔がそこにあったんですから。いやぁ、眼福眼福。ごちそうさまでした。


心の中で手を合わせてお礼を述べる。だけど、今の私にはイケメンはあくまでも鑑賞対象にしかならない。


(2年半早乙女さんが好きだった気持ちはそんなに簡単に消えないし、それにしばらく恋はこりごりだもんな)


私の悪いクセで、人柄より先に外見からまず好きになる。でも、そこそこ外見がいい人は当然ライバルも多くて、相手が選び放題なんだよね。


(こんな干物女が相手されるわけないし……)


私とそう変わらない年だろうに、すでに結婚し子どもまいるお客さまにやさぐれた気持ちを抱きながら。冷蔵庫コーナーで接客を始めた。


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