ダブル王子さまにはご注意を!





一瞬、見とれたのは仕方ない。

早乙女さんもそうだったけれど、私は線が細い華奢なイケメンが好みなので……。


けれど、今は仕事。気を取り直して咳払いをした。


「一人暮らしをご予定でいらっしゃいますか。失礼ですがお部屋の見取り図等はお持ちですか?」

「ああ、もちろん持ってるよ。はい」


ネイビーのビジネスバッグから取り出された見取り図を渡され、どれどれと見た瞬間に絶句した。


(なんじゃこりゃ!? 6LDKに庭並みに広いバルコニーとロフト付き! 一人で住む部屋じゃないでしょう)


住所を見ればつい最近建築されたばかりの一等地にあるハイグレードマンション。その最上階で一人暮らしって……どんだけセレブなんですか!


(これだと最新式の700リットルクラスの冷蔵庫と12kgのドラム式洗濯機を勧めても良いかな。エアコンも各部屋に一台ずつ……あ、でももう標準でついてるか)


頭の中の電卓をパチパチと叩いて、とらぬ狸の皮算用をしていると。なぜかクスッと笑う声が聞こえたような?


「あの、なにか?」

「いや。それより案内してもらっていいかな? 今日中に決めちゃいたいから」

「は、はい。それでは何からご案内しましょうか?」

「まずは冷蔵庫をお願いできるかな? 次に洗濯機。僕が使う訳じゃないけれど、ハウスキーパーがうるさいからね」


(ハウスキーパー……出た! やっぱり本物のセレブだ)


セレブ様をご案内するのに失礼がない様に注意しながら……他のお客さまがお試しで開けた冷蔵庫のドアに顔面をぶつけた。


< 12 / 235 >

この作品をシェア

pagetop