ダブル王子さまにはご注意を!



温室は特殊なガラスで出来たドームの形状をしてた。


建物はほぼ出来上がっていて、観賞用の植物も植えられているんだろう。中は蒸し暑くて色鮮やかなオウムまで飛んでた。


「……中にやつらは居ないようだ。だが、油断はするな」


安全確認のため、私たちより先行して進む人もいる。後は距離をおいてマリエラさん達が殿を務めてた。


「……郁美!」


私が小声で名前を呼んでも、虚しく響くだけ。数羽の小鳥が飛び立っていった。


「呼ばれてすぐに出てくるわけがない。おまえは盗難の被害者で郁美が犯人なんだぞ」

「そうかもしれない……でも。私は話を聞きたいの。なぜそんなことをしたのかを」


郁美は追い詰められてた。たぶん、あの父親のせいで。


たとえ悪人にたぶらかされたとしても、実の娘にあんな酷いことを言うなんて許せない!


郁美が人と違う体のせいでどれだけガマンしてきたか……寂しい思いをしてきたか。親なら理解しその気持ちに寄り添うべきじゃないの?


なのに、あのタヌキ親父は郁美を責めるばかりで……自分のことばかり。娘のことなんてこれっぽっちも気にしてなかった。

オマケで一樹まで本当は郁美に冷たくて……。


だから、せめて私だけでも彼女を理解してあげようかと思えたんだ。


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