ダブル王子さまにはご注意を!
「郁美」
小声で呼びながら、友達を捜す。一樹は警戒を怠らずに、銃を構えながら移動してた。
「……ずいぶん広いみたいね」
「そうだな」
ぱっと見大きさはそれほどなかったけど、中に入れば予想以上の広さ。四季折々の植物のエリアを抜けて、サボテンのあるエリアにやって来た。
(まさかこんな場所にはいないよね)
植物と通路の間には柵が作られていて、しかも距離がある。患者さんの身体を考えてだろう。
カツン、カツン。
満月だからかガラスを通じてもうっすらと明るい。月光を頼りに先に進むと、ちらっと姿が見えた気がした。
「郁美!」
ひらり、と身を翻して走り出す人影。その華奢な姿と髪型は、紛れもなく彼女だった。
「待って!」
「真由理!」
一樹が呼び止めるにも構わず、私は彼女を追いかける。郁美はよろめきながらも、必死に走って逃げようとした。
――でも。やっぱり普段から歩かないからだろう。運動不足でも私が追いつくのは容易かった。
「待って!」
「!!」
彼女の腕をしっかり掴んだ後、息を切らしながら呼びかけた。
「話を聞くから……逃げないで、郁美」
「……」
それでもなお抵抗の意思を見せたけど、一樹の姿を認めた彼女はその場で崩れ落ちた。