ダブル王子さまにはご注意を!





3年前の6月に結婚した梨花はなかなか子どもができずに悩んでたけど、去年授かった時の喜びようときたら。周囲は焦るな、って優しかったけど逆にプレッシャーになったみたいで。大変だな~と思う。


この平成の世に時代錯誤と言いたいけど、なんせ何代も続く家業の跡継ぎに嫁いだんだもんね。


「これで梨花はひと安心だね」

「後はあんただけど……」


近くの喫茶店にみんなで入った時の、お母様の目から出るビームと来たら……。


「……手紙は相変わらず返って来ないの? レオン王子からは」

「し~っ! し~!!」


慌てて周りに目を向けると、お母さんはふんと鼻を鳴らす。


「誰も聞いてないよ。それより、手紙は来てないの?」

「う……う~ん……まあね」


ハハハ、と乾いた誤魔化し笑いをすれば、ドン! と大きな音が響く。香織がグラスを乱暴に置いた音だった。


「あのバカ王子……あんたがこんだけ努力して綺麗になったってのに、ほったらかし? なぁーに考えてんだ!」


「あれ? 香織酔ってる? おかしいな、それ水だよね」


アハハとまた笑う私は、香織にぎろりと睨み付けられ凍りついた。

< 210 / 235 >

この作品をシェア

pagetop