ダブル王子さまにはご注意を!
結婚資金に貯めてた百万単位のお金をすべて出すなんて……なかなかできることじゃない。それだけ早乙女さんは郁美を本気で好きだった……。
“彼女が助かればぼくは無一文になったって構わないよ。だってぼくにとって、彼女が生きてくれてるだけで十分なんだから”
彼女の治療代のためにとお昼を抜いてまでいた彼に“どうしてそこまでするんですか?”と訊いた答えがそれ。
その時、驚いたけど……これが本当の彼なんだと思った。
相変わらず無神経なところはあるけれど、郁美に対してそんな態度はとらない。むしろきめ細かな配慮をしてる。
今まで郁美の支えになってきたのは間違いなく彼だ。家族もそうだったかもしれないけれど、早乙女さんの熱意と深い思い遣りが何よりの薬。
そんな彼の数年に渡る想いが通じないはずがない。人見知りする郁美はゆっくりと時間をかけて彼に打ち解けて、今ではすっかりなくてはならない存在に。
やっと今年の春に交際をスタートした二人は、お互いのペースでゆっくりと仲を深めてる。この分ならきっと大丈夫……と安堵のため息を着いた。