ダブル王子さまにはご注意を!
あの後……
一樹……レオン王子とはほとんど会話もなく別れた。
ただ、“もう一度逢おう”――と。彼は私に告げただけ。告白の答えはもちろんもらえなかった。
夏樹……カール王子は事件の後すぐに駆けつけてくれた。でも、私に逢ってすべてを悟ったらしく“潔く諦めるのも癪だな”と呟いてた。
結局、私が妃候補という報道はデマだ。カール王子自らが訂正してくれたお陰で、私は普通の生活に戻ることはできたけれど。時折お客さんの中に“もしかして”と言い出す人もたまにいた。
そんなときは(また転勤で同じ店に戻ってきた)早乙女さんがフォローを入れてくれたりする。
事件後二人はクリスマス近くまで滞在して、フリューゲル王国へ戻っていった。
1年ほどゴタゴタしてたから遠慮してたけど、落ち着いた頃から手紙を送るようになった。
もちろん、異国とはいえ王族に個人が送れるはずもない。だから、日下部刑事のつてを使って送ってた。
1年の間に独学でドイツ語を学んでいたから、下手ながら自らしたためて。初めて送った時はどれだけ緊張したか。
けど、レオン王子からの返事はなくて。初めての手紙は十二通目を送った桜が咲くころだった。
“無事に生きてる”
たったそれだけのメッセージ。だけど、私宛てに筆無精だろう彼が初めて書いてくれた――そのことがしあわせで、メッセージを抱きしめ目が腫れるくらいに泣いた。