ダブル王子さまにはご注意を!
「真由理さん!」
予想外の声が聞こえて、驚いた。
「井口くん……どうしたの?」
後輩くんが息を弾ませながら駆け寄ってくる。もう日付も変わろうとする時間帯。仕事帰りとは思えない。
「だって……レオン王子が婚約って……真由理さん、落ち込んでないかなって……気になってたんです」
眉を下げて心底心配そうに言ってくれる後輩くんに、胸にあたたかいものが満ちていく。
空っぽで冷たくなにもなかった場所に……僅かだけど何かが生まれた。
「……ありがとう。失恋祝いをしようと思ってたところ。よかったら付き合わない?」
「もちろん。真由理さんがよければとことん付き合いますから。好きなだけグチってすっきりしてください! いくらでも聞きますよ」
ニカッと笑う後輩くんの笑顔が、初めて可愛いなんて思えて。結局、二人で山ほど購入したお酒で飲み明かした。
別に、男女としてはなにもなかったけれど。
気付いたら、クリスマスに会う約束をしっかりとしてた。