ダブル王子さまにはご注意を!



それからは緊張しながら郵便受けを開ける毎日。

1週間目はまだ大丈夫、と考えることができた。

……もしかして今日こそ……と期待を抱いてはがっかりする。2週間目はそんなふうに過ぎて、日数を重ねるごとに薄れてゆく希望。期待が砕かれるごとに、諦めの気持ちが大きく育つ。


3週間目……半ば義務のように開けて、それでも郵便物があればバカみたいに期待が頭をもたげる。でもすぐに失望という結果になって。


4週間目……あと3日後がイヴという日。半ば機械的に郵便受けを開けて諦念が胸を満たしたあと、決定的な出来事がニュースで流れた。


“フリューゲル王国第二王子レオンハルト殿下が婚約……お相手は一般女性か”


ぽっかりと、胸に穴が空く――そんな思いを初めて経験した。


(レオン王子が……婚約……これが彼の答えなんだね……)


これ以上ないほどの見事な答え方だ。


“他に愛する人がいる。だから無駄だ”――と。きっぱりと教えてくれたんだ。


「はは……やっぱり11回目の失恋しちゃったよ……」


虚しい笑いが込み上げてくる。悲しいのに笑えるなんておかしいな……だけど。もう、自分の感情はコントロール不能だった。


「……コンビニ……行こ。つまみも買って……やけ酒だ! 飲まなきゃやってられない」


久しぶりにしまいこんだジャージを引っ張りだして着ると、すっぴんのままサンダルをつっかけただけで深夜の道を歩いた。


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