ダブル王子さまにはご注意を!



「待ってください!」


夜空に井口くんの声が響いた。


「あなたは……婚約したんではなかったんですか? それなのに真由理さんまで手に入れようとするなど……そんな不誠実なこと、ぼくは許しません!
たとえあなたが無理にでもさらうなら、ぼくはあちらに乗り込んででも戦いますから!」


顔を真っ赤にして肩を怒らせる井口くん。その優しさは本当に私にはもったいないくらいだ……でも。


確かに、手紙の件の誤解は解けたけど。婚約者のことが決定打となったこちらからすれば、決してうやむやにしたくはなかった。


「そうだよ。日本にまでニュースになったんだから。もしも本当なら……私はこれを受け取れないし、読む気にはなれない」


ドサッとカバンを石畳の上に置けば、ふうとレオン王子が長く息をつく。やはり婚約者がいるんだ……と確信するころ、彼は語り出した。


「……確かにオレは婚約者が欲しい……だが、それは……真由理。おまえのことだ」

「え……」


「カールが王太子となり名家の令嬢と婚約したのは事実だ。だから……オレは好きな女を婚約者にするためこの3年戦ってきた……真由理、おまえを迎えるために」


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