ダブル王子さまにはご注意を!
「さよなら、真由理さん。おしあわせに……それから、レオンハルトさん。真由理さんをしあわせにしなきゃ許しませんからね」
「ああ、必ず」
なぜか井口くんはレオン王子の胸を叩き、王子が彼の拳を受けて真剣な面持ちで頷く。
「井口くん……ごめんなさい」
私が呼んでももはや答えはなくて。井口くんは私たちに背を向けると、迷うことなくまっすぐに去っていった。
「……ありがとう、井口くん」
もう、聞こえないだろう彼に向かって呟いた。
「さて、と……」
「え……あ! ちょっといつの間に」
私の左手薬指には、いつの間にか紅い宝石の指輪が輝いてた。
「レオン! 何を勝手に……っ」
ふ、と柔らかいあたたかさを唇に感じて。
キスをされた、と気付いたのは数秒後。
「“Ja”(ドイツ語でyesの意味)以外は言わせないからな」
「そんな勝手に、っ……んん」
もう一度合わされた唇は、熱くて。火傷するかと思うくらいに長いキスをされた。
「Jaだろ、真由理……オレとともに生きてくれるか?」
「……はい」
抱き寄せられて頭に口づけられて、ようやく現実なんだと自覚したら。しあわせ過ぎて涙がにじんできた。