ダブル王子さまにはご注意を!
「え、駄目なの? なんで??」
よほど教えて貰える自信があったからか、早乙女さんはきょとんとした顔で訊いてきた。
(なんで、じゃない! 自分の胸に手を当てて考えろ!!)
「いえ……その子はシャイで人見知りしますから。それに私の友達であなたの友達ではありませんよね? 別に紹介する必要はありませんけど」
言外にあんたとはもう関わらないんだから関係ないだろ! という意味を含ませてやれば、やっぱりカチンときたか彼は眉を僅かに寄せた。
「え、そうならせめて名前教えてよ」
(しつこい! マジなんなの、この人)
いくらなんでもしつこいしウザすぎる。さっきまでのときめきは急速に萎んで、不愉快さだけが積っていった。
早くこんな不毛な会話を切り上げたい。だけど、たぶん一切教えないとしつこくきそう。だから仕方ないよね、と私は自分に言い聞かせた。
(名前だけなら男か女かわかんないし……お客さんと気づくまい。よし!)
「名前、だけですよ。他には一切教えませんから」
「全然いいよ!」
目を輝かせる早乙女さんに内心引きながら、やむなく口にする。
「ナツキ……です」
「ナツキちゃんかぁ……カワイイ名前!」
何を想像したのかうっとりと呟いた彼に、本格的なドン引きした後。更に追加でとんでもないことを言われた。
「ね、中西さん。LINEのID教えてね!」
“ナツキ”目当てがバレバレだっつーの!