ダブル王子さまにはご注意を!




ぎゃああああ! と叫びたくなるのは仕方ないし、たとえ私が朝言われたことをすっかり忘れてたとしても、誰も私を責められまい。


なにせ名刺を持ったお客さまが立て続けにご指名でご来店されたのだから。それも勤務時間が終わる間際に。


予定では18時上がりだったけど、17時40分過ぎに一人目で4Kテレビと全録レコーダーのお客さま。18時ごろにエアコンのお客さま。18時過ぎてパソコンとプリンタセットのお客さま。


どれもこれも高額な上に私でいいと指名でお待ち下さるんですから。張り切って接客するしかないでしょう!


なのに……18時30分ごろ。あのまばゆすぎるイケメン様がお店に現れたんですよ!


カウンターにいる女性陣が芸能人かと騒いでるのが聞こえる……。


だけど、いつもにこやかなはずのイケメン様は少しの愛想もなく、接客中の私の腕を掴むと「来い」と引きずり出したんだから。唐突過ぎてしばらくぽかーんとしたけど。数秒後には当然抵抗をした。


「ちょ、意味わかんないんですが! 私、仕事中なんですよ。見てわかんないですか!?」

「知るか。約束を破ったあんたが悪い」


素っ気なく言い放たれて、カチンときた。


「私、約束なんてしてません! あなたが一方的に勝手にしただけでしょう!」

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