ダブル王子さまにはご注意を!





「あの人が夏樹さん? なら、あなたは?」

「オレは……一樹(いつき)判るだろうが、アイツとはふたごの兄弟だ」

「ふたご……どうりでそっくりで」


だからかと納得できた。顔や体格が似ていても性格がまるっきり違うのは。


昨日の夏樹とかは顔や態度は穏やかだったけど、有無を言わさない迫力があって腹黒い感じ。対する一樹はぶっきらぼうだけど、ストレートに物言いしそうな真面目さが見えた。


でも、それで疑問のすべてが解決したわけじゃない。私が巻き込まれた問題はなんなのかはっきりさせないと、今後どうすればいいか決めかねる。


「それで? あなた達が解決しなきゃならない問題ってなに? 夏樹から絵を見せられて人探しってのは納得してるけど。
ぶっちゃけ、子どもの頃の友達探せばいいだけでしょう?
夏樹にも言ったけど、幼稚園だか保育園だかにあたれば済む話じゃない?」

「それは当然考えた。だが、じいさんに年内って条件をつけられたからな」

「じいさん?」

「……そこまではまだ明かせない。だが、かなり厳しいのは確かだ。夏樹から聞いたかもしれないが、オレたちは6つまでの記憶を無くしてる。その鍵を握るのがたぶんその絵を描いた子……オレ達が年内にその子を見つけるだけでなく、記憶を取り戻すことがこの地に住み続ける条件なんだ」

< 36 / 235 >

この作品をシェア

pagetop