ダブル王子さまにはご注意を!



「アイツって、誰のことですか?」


下手すりゃ犯罪者になりかねない相手に、追及を緩めるつもりはない。警察に駆け込まないだけ感謝して欲しい位だし。


「苦っ!」


缶コーヒーに口をつけて顔をしかめたイケメン様は、それでもやっぱり美形なままで。眉間に深いシワを寄せて手で口元を覆った。


「本当にコーヒーなのか、これは?」

「無糖のブラックなら当然でしょう。もしかしてコーヒー飲むの初めて?」

「いや……コーヒーは好きだが……いつも飲むのは加茂(かも)が淹れた水出しコーヒーだからな」


「かも? 鳥がコーヒー淹れるの?」

「……バカだろ、おまえ……」


空気を和らげるためにちょっとした冗談を言っただけなのに、イケメン様はマジに取ったのか白い目を向けられた。やれやれ……思ったより真面目な質らしい。


「で?」


コーヒーで話を逸らそうとしたって無駄だから、と私が視線に力を込めれば。イケメン様はもう一度ため息を着いた。どうやら観念したらしい。


「夏樹のことだ。今朝まであんたが一緒にいたやつだよ」


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