ダブル王子さまにはご注意を!
「どうせあんたのことだから、帰りのキップなんて買ってないだろ」
「う……」
悔しいけどその通りで、一樹の言葉には反論できなかった。
「一緒に帰れば電車賃はかからないぞ?」
「で、電車賃は後日会社に請求できるから!」
「どうせ期限破って自腹になるのがオチ。なら大人しく乗っておけ」
ポンポン言い返されて、きいい! と頭に血が昇る。でも、心底悔しいけど言い返せない!
「ほれ、そっちに停めてるから大人しく乗れ」
一樹に引きずられて向かった先には、やっぱり高級車がありまして。シルバーブロンドのダンディーなおじさまがドアを開いてくださいましたよ。
「どうぞ、中西様」
「さ……さささ様~? い、良いです! わ、私に様呼付けは要りませんから」
パタパタと両手を振りながらダンディーおじ様に言えば、後ろで一樹が「サマー? 今は秋だ」と言うから、さりげなく足を踏んで踵に全体重を掛けたら。「うげっ」とカエルがひっくり返ったような声が聞こえて、胸がすっきりした。