ダブル王子さまにはご注意を!


……ていうか。


私は隣にいる一樹をちらっと見る。


「ねえ、何でそんな妙な格好してるわけ?」


思わず訊かずには居られないほど、隣の一樹はおかしなファッションだった。


足首まで隠れるトレンチコートに、ぐるぐる巻きのマフラーは顔まで隠して。深々と帽子を被ってる。大きなサングラスとマスクに手袋。一体なんでそんなに全身を隠すようにしてるのか。逆に不審者過ぎるんですけど。


「気にするな」

「逆に気になるわ! もしかして風邪でもひいた?」


無神経であんまり好かない相手だけど、さすがにここまで保温してると心配になる。私だって鬼じゃないから。


「体調悪いなら、家で寝てたら? 私、あんたの分まで頑張るからさ」


一樹はしばらく無言でこちらを見てたけど、フイッと向こうを向いて素っ気なく答えた。


「……いや、風邪じゃない」

「そう? でも気分が悪くなったらちゃんと言いなさいよ」


ぱんぱん、と背中を叩いて香織と夏樹のやり取りに目を向ける。


どうやら夏樹と一樹の両親は海外住まいらしく、二人とも6歳から今までほとんどそちらへ住んでたみたいだ。するとおじいちゃんは外国の方? なのかしらん。幸村って名字は日本人だから、お母さんがお父さんが日本人ってことかな……なんて想像しながら、ゆっくりと動く車のシートに身を委ねた。


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