ダブル王子さまにはご注意を!
「申し訳ありません。時差であちらはちょうど真夜中ですから、やはり出てはいただけませんでした」
夏樹の残念そうな声に、仕方ないわねと香織はすぐに諦めた様子。
「でも、ご両親は常に海外にいらっしゃるの?」
「ええ。仕事も生活の基盤もあちらですから」
「ふ~ん……ちなみにどの国か訊いてもいい?」
「フリューゲル王国ですよ。日本とは時差が8時間近くありますから、あちらではだいたいの人が夢の中でしょう」
「ぶっちゃけ、聞いたことない国だけど」
「でしょうね。帝国が瓦解した時に出来た小国の一つですから……最近知られてきたヴァルヌスと比べれば知名度は今ひとつでしょう」
夏樹の苦笑いがこちらにも伝わってくる。香織も「ああ」と食いついた。
「たしか、数年前に日本人の一般女性と、王子様が結婚した時。ロイヤルロマンス! って騒がれたよね。あの時はすごかったな~」
もともと恋愛沙汰が大好きな香織は見事にその話題に食いついた。それはもうがっちりと、スッポン並みに。
「ヴァルヌスの近くなら王子様見たことある? どんな人か教えて!!」
目をぎらぎらと光らせた香織はアナコンダ並みに夏樹に絡み付いてた……。