ダブル王子さまにはご注意を!




「誰、これ……こんな子いたっけ?」


園児服であるピンク色のスモックを着て黄色い帽子を被りカバンを肩から提げた女の子。私と一緒のチューリップ組の名札をつけてたから、同じ年少クラスだったと思うけど。


だけど……その後どのページを捲ってみても、その女の子の姿はなかった。


小学生以降はさすがに憶えてる。入学式に香織と仲良くなったから……でも。こんな色素が薄いお人形みたいな綺麗な女の子、一切記憶にはない。


でも、入園式のその子と私はしっかり手を握りしめて写ってる。香織に鍛えられるまで人見知りだった私が、見知らぬ子とこんなふうに親しげに写るはずがない。


「あ~思い出せない! 一体、誰なのあなたは?」


イライラが募ってグビッと缶ビールを煽る。ほろ酔い気分なんてとっくに飛んで、気持ち悪い重さが胸に凝ったような。そんな気がした。


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