ダブル王子さまにはご注意を!
アルバムを床で広げれば、懐かしい顔ぶればかり。
大学に入り一人暮らしを始めた時、親に無理に持たされたけれど。こうして眺めるのも案外悪くないかも……。
「ひゃー私、フリフリばっかじゃん……」
乳児の頃の私はいかにも“女の子”な服ばかり。たぶんお母さんの趣味丸出し。何の疑問もなく幼稚園まではその格好でいたけれど……今は。
チラッと今いる部屋の惨状を眺めてから、すぐにアルバムに視線を戻した。
「あ~やめやめ! 明日から頑張るから~今日は飲んでやる――ん?」
四本目の缶ビールを冷蔵庫から取り出し、プルトップを開けた時――ふと何気なく見た一枚の写真にどことなく気が引かれた。
それは、幼稚園の入園式の写真。
“平成××年年度入園式”という看板の前で、お母さんと私と手を繋いで写ってる記念写真。私の横に更にもう一人。髪の毛を結んだかわいらしい女の子が写ってた。
私は無理やり女の子に仕立てられたような悲惨なシロモノだけど、その女の子はお人形みたいな整った顔立ちに白い肌。入園式なのに愛想の欠片もない顔だけど……それでも美貌は隠せてない。