ダブル王子さまにはご注意を!






「……失敗した」


フィッティングルームで恐る恐る鏡を見て……すぐ出たのがため息だった。


スカートなんて穿くのは何年ぶりだったか。就活のスーツはパンツスタイルだったし、成人式は振袖だった。下手すると高校の卒業以来かもしれない。


手入れが楽とボサボサのショートヘアの私に、フェミニンなワンピが似合うわけない。しかも身体にフィットしたデザインだから、ぽっこりお腹とデカイお尻の割りにない胸が……太もももぱつぱつ。お腹回り苦しいし。ファスナー下がるのか、これ? さっきも上げる時、背中の肉挟んで涙目になったし。


「……すみません香織さん……私には到底ミッションはクリアできませんでした」

「…………そうね…………」


現実を直視した香織さんも妙に遠い目になったのは気のせいじゃない。


「こうなったらプロに任せるが一番かもね……」


あれこれ着せても無駄なことを悟ったか、自信なくなるわと呟いた親友よ、すまぬ。私の壊滅的な女子力のせいなのであって、あなたのセンスが悪いことは決してありませんから!


「すみません、この子に合うものを持ってきていただけますか?」


疲れた香織が投げやりに言うと、すぐ近くにいた店員さんがやって来てくれたけど。


ふわり、と優しくて爽やかな薫りが鼻に届いた。


< 73 / 235 >

この作品をシェア

pagetop