ダブル王子さまにはご注意を!
精一杯の抵抗虚しく、馬鹿力の香織に引きずられた先はフィッティングルーム。満面の笑顔の香織に、ドスの効いた声で言われました。
「あんたさ、25にもなってその格好。女としてどうなの? いいと思ってる?」
ひょえええぇ……と恐怖で身心ともに固まった。
長年友達してりゃ嫌でも判る。爆発する五秒前の静けさだ。
「髪の毛ろくに手入れなくボサボサ。ノーメイクで肌も焼け放題でうぶ毛の手入れナシ。オマケにチェックのシャツにパーカーとジーンズにスニーカーって。しかも全部高校からのお古。
自分がどんだけ痛い女か自覚ある?」
「……返す言葉もございません」
説教部屋と化したフィッティングルームで、なぜか正座をさせられ香織からこんこんとお叱りを受けました。
「あたしらの収入じゃ手が届かないブランドが好きに手に入るんだよ。ここでひとつ、変身するつもりで変えてみたら?」
「……そうかな?」
「そう、じゃなくてやるの! 自分が変わろうと思わなきゃいつまで経っても同じ。また、フラれたいの?そのままじゃ言っちゃ悪いけど、一生マトモに相手にしてもらえないからね」
香織の痛烈なひと言は、がっちりと私の胸を掴み揺さぶった。
「そ、そうだね……もうフラレるのは嫌かな……」
「でしょ! いっぺんに変わるのは難しいから、少しずつ始めればいいの。まずは形から、真似事でも良いから女の子にならないと」
妙に盛り上がった気分の私は、香織から勧められるままにフィッティングルームで着替えてみた。