ダブル王子さまにはご注意を!
何だか部屋に戻る気にはなれなくて、落ち込む気持ちのまま中庭のベンチに腰かけた。
「あ~ダメだ私って……自己嫌悪……わぎゃっ!」
うなじに冷たさを感じて思わず立ち上がれば、後ろから遠慮なく笑う声が。
「ぶ……マジで面白ぇ! マンガみたいに飛び上がるやつリアルで初めて見た。ぶははははっ!」
その憎たらしい聞きなれた笑い声は、言わずと知れたふたごの弟の方。
「ちょ……いきなりなんなのよ! 人が落ちてる最中に……ん!?」
憤って振り向けば、目の前にでん! と鎮座ましてるものは……。
ノンアルコールの、ビール様がた! しかもキンキンに冷えてるらしく、水滴がついてる。
「ちょ……これ! どうしたの!?」
「ん? そろそろ禁断症状が出るかと思ってな。もちろんこっそり持ち込んだけど……どうしようか? 一応、たこわさもチーカマもチータラもあるが……一人酒盛りでもするか」
あああ……おビール様が、遠のいてく! 私はその(ノンアルコールだけど)缶ビールを死守すべく、飛びかかって缶を掴んだ。
「よ~こ~せ! これは私のだ~」
「いて! なんて力だよ。わかった、わかった。まだあるから落ち着け!」
呆れた顔をした一樹はコンビニのビニール袋を手に、人気のない場所へと私を誘った。