ダブル王子さまにはご注意を!



ドキドキしながら待ってみたけど、一樹はそれ以上何も言ってくれなかった。


「な……なによ、意味深なこと言わないでっての」


ぬるくなった缶の中身を飲み干すと、勢いのままに一樹を眺めてみる。すると、彼は頭を背もたれに載せたまま本当に寝息を立ててた。


いつもしかめられる眉間にシワがなくて、平和そうにすうすう寝入ってる。ま、確かに穏やかで心地がいい午後だから、昼寝したくなる気持ちも解るよ。


「こら~私を放置するんじゃない」


むに、と軽くほっぺたをつまむけど。あんまり邪魔をする気になれなくてすぐに離した。


建物の隙間にある場所だから風が入らないわりに、日光が射しててぽかぽかとあったかい。



近くにある林の木々に留まる小鳥の綺麗な囀りが、耳に心地よく響いた。


(なんか……いいな、こういうのも)


日向ぼっこなんておばあちゃんみたいだけど、案外悪くないかもしれない。


賑やかな場所にいて暇つぶしの方法がたくさんある私にとって、こんなふうに何もしない時間は以前なら苦痛で無駄としか思えなかったけど。


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