ダブル王子さまにはご注意を!
「すべてが駄目な人間なんざよほど居ない。大抵なにかひとつはあるもんだ。
あんただって……」
「……一樹」
なんで、だろう?
一樹の声が、すごく心地いい。風に乗って香るフレグランスも……。それに包まれていると何だか彼が間近に感じるようで。
胸の鼓動が、ほんのちょっとだけ速くなってきた。
(私だって……なに?)
その先が、聞きたくて仕方ない。いつも憎まれ口をたたく一樹だけど、本当の意味で蔑んだりバカにする態度を取ったことはない。
こうして寝たふりをしながらアドバイスをくれるのも、私の話を聞かなかったことにしてくれる配慮からだ。
あれだけ散々グチられた上に絡まれて、単なる厄介ごとなのに。一樹はそれだけ優しさを見せてくれた。
表面的な優しさから言えば、兄の夏樹の方が遥かに優しいし人受けもいいと思う。
だけど、私は。
一樹のこんな不器用なわかりやすい優しさの方が好きだ、と。そう感じた。