Pathological love 番外編
「ほら、行くぞ?ゆっくり立って……。」
肩と腰に当てられた手の感触に、一瞬電気が走った様に身体が痺れた。
(うわっ……うわっ……うわっーーーーーーー!!!)
フラフラする足元に、一層連理の支える手に力が入る。
心臓が可笑しいくらい高鳴っている。
その後も緊張は続いたけれど、特に何も起こることなく、一人だけ興奮して慌てて、テンパってる自分が下心丸出しで恥ずかしかった。
この日をスタートに、連理は毎日、私の世話を甲斐甲斐しくしてくれる様になった。
その甲斐あって、身体もすっかり元通りに回復し、お陰様で体重も元に戻ってしまった。
たまに軽くキスはするけれど、その先は全くと言っていい程進展が無く、まるでプラトニックな関係。
凄くそこは気になっていたけれど、敢えて触れる事は恥しくて出来なかった。
唯々悶々とした日々が続き、漸く欠勤していた会社に出勤する日になった。
「連理!じゃあ、私そろそろ行ってくるね!」
そのまま玄関へと向おうとすると、腕を引かれた。
「何?」
「ここ。」
「えっ?!」
彼は私の身体も振り向かせると、私の下唇をぷにっと押した。
(何?この展開……もしかして、出掛ける前のー…………)
「フフッ……歯磨き粉、ここに付けたまま出勤すんのか?」
親指の腹で擦るように拭われる。
「えっ!嘘!嫌だ!!」
勘違いした自分の思考を振り切って、私は洗面台で唇を確認した。