いきなり花嫁とか、ふざけんなです。
ここは、エゼナのお城だそうです
☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆


「むぅ。」

運動したわけでもないのに、なんかどっと疲れました。

朝起きた部屋に帰され、ソファーにダイブなうです。

ついでに、置いてあったレースの着いたクッションに、顔をうずめておきます。

「あぁ~~。」

帰りたい。

帰って、視察をやりたい。

せっかく、時期領主としての初めてのお仕事だったのに。

それなのに、やり遂げるところか、いつの間にかこんなところに捕まってしまうなんて。

わけのわからない人に、初めての唇付けを奪われそうになるなんて。

しかも、求婚されるなんて。


想定の斜め上どころか、4次元のど真ん中に放り出された気分です。

頭が追いつきません。


父さまと母さま、心配しているでしょうか……?

昨日の夜は、

「親がいないぜ、ひゃっはー!」

な気分だったのに、今ではとても両親が恋しいです……。


「帰りたい……。」


逃げちゃいましょうか。

逃亡するのです。

チラッと窓を見ます。

……ベッドのシーツを破いて繋ぎ合わせれば、下まで降りられるでしょうか。

と、いうことでソファーから身を起こし、窓を開けて下を覗いて……


ひゅ~~~~。


……うぉぅ、風が強い。

そして、肝心な高さは。


「…………。」


パタン。

窓を閉めます。

つまり、そういう高さです。

高所恐怖症の私が、下をみたことを後悔するような高さですよっ!!

ちくしょーです!!

まったく、なんてところに閉じ込めるんですかっ!!


「今度顔を見たら、張り手じゃ済ましませんよ!!」


グーで殴ります。

グーパンです!!


シュッ、シュッ!

思わず、その場でシャドーボクシング。

ボッコボコにしてやりますよ!


「ちょっ、それは勘弁してやってやれよ、お嬢。」

「いーえ、彼にはサウンドバックになってもらうのです!」

ん………?

あれ?

「…………って!!」

なんで後ろから声がするのですかっ!?

振り返ると。


「よっ。さっきぶりだな。」


腕を組んで壁に寄りかかる、長身の赤髪男。

その顔は、にこやかに笑っています。

「ソルデさん!?」

なんで、ここに!?

というか、扉の開く気配がしなかったのですが!?
< 19 / 45 >

この作品をシェア

pagetop