いきなり花嫁とか、ふざけんなです。
「……なら、行かなくてもいいですね。」
というか、行きたくないです。
「デューノのこと、そんなに嫌か?」
「当たり前じゃないですか!もう、顔を見たくもないですよ!」
顔を思い出すだけでゾワゾワっとします。
ゾワゾワっと。
あそこで張り手をしていなかったら、どうなっていたのか。
考えたくもないですね。
乙女のファーストキスをどうにかしようとか、悪人です。
あー、もうやめです、やめ。
少しだけ話題を変えましょう。
「……というか、ソルデ、王様のことを呼び捨てにしてもいいんですか?」
私が、彼を王様だと思わなかった理由は、そこです。
不思議に思っていたので聞くと、
「まぁ、よくはねぇだろうな。」
肩をすくめてあっけらかんと答えましたよ、この人。
ソルデは、続けます。
「でも、俺らは元々シルドレッドの平民だからな。王様とか国とか、おかたいことは柄じゃねぇんだよ。」
「そういうもんなんですか。」
「そういうもんだよ。」
ポンポン。
……また、髪型を崩さない程度ですが、頭をポンポンされました。
「……本当に、頭好きですよね。」
さっきも思ったことを、今度は口にします。
もしかして、頭フェチとか?
ソルデは、
「頭、触られんの嫌か?」
「いや、別に嫌とかは思いませんけど……。」
「じゃあ、いいじゃねぇか。気にすんな。」
はははは、と笑っています。
……うーん、そういうもんなんですかね?
なんてことを考えている間に、いつの間にか黒い扉の前に来ていました。
あ、ここなんでしょうか。
「着いたぜ。」
おぉ、やったー!
お腹、ペコペコです。
ルンルンですよ、ルンルン。
腹が減っては戦はできぬではないですか!
遠慮なんかせずに、いーーっぱい食べますよ!
「まぁ、少しだけ我慢してくれな。」
ん?
なんですか、その一言。
いやーな予感がしたときには、ソルデは勢いよく扉を開けた後でした。