純愛小説家
でも。
それは違ってた。

確かに。
俺じゃなく、【矢野 伊月】だけを目的に近づいてきた相手が大半だったけど。
俺がそこにこだわらず、先入観をなくして接していれば。

それは、変わっていたのかもしれない。

俺も【俺】ではなく。
【矢野 伊月】を演じていた。
そういう相手には常に、小説家、【矢野 伊月】でいるべきだとも思っていた。

全て相手のせいにして。
俺は被害者ぶっていた。

俺は善で、相手が悪なのだと…。

心を開こうとしない相手に。
心を開く人間なんていない…。

そんなことにも気づけなかった俺は。
どこまで欠落した人間だったんだろう……。

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