ジャスティス
桐山家
大きな門を挟み真っ白な壁が、屋敷と庭をぐるりと囲っている。

門の横の壁には桐山という表札が貼られている。

壁の高さは2メートルほどあり屋敷や庭の風貌は門からしか見えないが、門から真っ直ぐに伸びた道は屋敷の玄関まで続いている。

道を挟んだ右の敷地の奥には手入れの行き届いた木、池などがあり庭では大型犬が二匹、放し飼いにされていた。

屋敷の横には、車が数台止められるような広さの倉庫が建っている。





綾瀬真子は唯一中が見渡せる門の隙間から桐山家を覗きこむと庭で寝転ぶ犬を見た。



「大きな犬」



そう呟いて表札の下にある郵便受けの口に持っていた回覧板を押し込んだ。

ガコンと音がなり、寝転んでいた犬二匹が顔を上げて真子を見たが、すぐに興味無さそうに顔を伏せた。




門から玄関までは距離があり、郵便物を取りに行くのは大変そうだと思ったこともあるが、真子が知る限りでは桐山家には若い男性が二人おり、新聞や郵便物は彼等が取りに来るのを何度か見たことがあった。

以前に真子が持って来た回覧板を彼等が庭にいたときに手渡したこともあったが、非常に腰が低く愛想も良かった。

中肉中背、顔もそこそこ整っている好青年。

雰囲気から家族ではないと容易に想像がついていたが、近所の人から、若くて整った使用人がいると噂で聞いたことがあった。



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