農民生まれの魔女

アレンがおろおろしていたら
背後からハリのある威勢の良い声が聞こえて来た

「おおイヴよ此処におったか随分と探したぞ
隣に居るのはアレンか
今日も訓練御苦労だった」

そい元気良く声の主が喋った後、泣いているイヴにようやく気付いた、隣で困っているアレンを見て全てを悟ったように言った

「アレンとうとう理性が効かなくなったか
自分と同年代の女の子をひさびさに見たからって、泣かすのは駄目だぞ、もうちょと手順を踏んでだな」

アレンはポカンとしてその話を聞いていた
イヴはすっかり泣き止んで
今は目の前のおじさんの話が難しかったのか
目でアレンに「翻訳して」と言った

「お、お父様僕が泣かせた訳じゃ」

「そんな嘘言いおってバレバレじゃぞ
イヴそうじゃよな」

元は自分の感情で泣いた事だが、アレンの言った事のせいだし、ここはこのおじさんに賛同した方がいいと考えイヴは上下に勢い良く頷いた

「え、そうなのか!悪かった」

アレンは何が悪かったのか良く分からなかったが、自分が悪いのはこの雰囲気でなんとなく気付いたからきちんと謝った


「よし、これで仲直りだなじゃあイヴ行くぞ」

「え、何処にですか」


「何を言っておる、養子縁組の手続きじゃよ」


「「え、 ……… えーーー!」」

最初イヴとアレンは何を言われているか
分からなかった
いや、理解出来なかった

「お、お父様養子縁組の意味を御理解しているのですか!」


「私、おじさんの事知らないし
それに、態度がデカイどっかの誰かさん
と毎日会うなんて嫌だし」

アレンは
こっちから願い下げだ!と言ったが
誰も聞いておらず否定の場を失った

よくよく考えてみると
こんなにムキになったら自分が焦ってるみたいで馬鹿馬鹿しくなって来た
家に女の一人や二人何回も来た事あるし
幼馴染のアンリだってしょっちゅう泊まりに
来るじゃないか


イヴが来てから調子狂な…



「わしはちゃんと意味を理解して言っておるぞ
しかし、イヴの願いは聞けんのぉ
まぁこんなのでも良い所の1つや2つぐらい
あるぞ、それにアレンも来てくれたら嬉しいって言っておるしのぉ

「お父様、私はそんな事一言も言っておりません!」

アレンが慌てて否定したが
その言葉は軽くあしらわれた


「あっ、お父さんとお母さんは何処?」


私が、そう言ったらおじさんは一瞬悲しげな
表情を浮かべてこう言った


「イヴのお父さんとお母さんから頼まれたんじゃイヴを少しの間見てくれって」


「え、そうだったの私初耳だったから」



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