農民生まれの魔女

「アレン、そろそろ出発の時間だね
おじ様に挨拶して一緒に行こ」

アレンも今からイヴの行く魔法学校の生徒なのだ、イヴより年上で初等部の4学年だ

「ああ、いいよ
所でイヴは空中飛行できるか?
そうしたら学校まで早く行けるんだが」

「うーん、私魔法は一回しか使った事がないの
だからできるかな」

アレンはその言葉に驚いた
この国の人は幼少期から魔法を習う
流石に空中飛行はレベルが高かったが
貴族生まれの人はほとんど出来るはずだ
もしかしてイヴは階級が無い家に生まれたとか
いや、それはないか
階級が違うもの同士での養子縁組は不可能だ
イヴは一体何者なんだ


「そうなのか、じゃあ馬車で行こう」

「うん!」

そして、時は30分後……

「イヴーー グスッ、元気でのぉ
辛い時はいつでも帰って来るんじゃぞ!」

おじ様が涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら
馬車の中に居る私達に手を振っている
有難いが、少し恥ずかしい

「お父様、僕よりイヴのほうが過保護」

アレンが泣いているおじ様を見てクスクスと
笑う

「なんでだろう、いくら頼まれたって
こんなにしてくれるなんて
本当にありがとう」

その時見せたイヴの笑顔に
アレンは心臓が握られた様に締まった感覚がした

「いや、こっちこそ……」

アレンは小さな声でボソボソと言ったが
イヴには何も届いていなかった

「と、ところでイヴは学校に行った事が無いんだろう、今から行く所は初等部と高等部に分かれていて16年生制度なんだ
イヴは今13歳だからぎりぎり初等部になっちゃうね
校舎は違うけど寂しくなったらいつでも
歓迎するよ」




アレンが長々と語っている間に
気付いたら魔法学校に着いていた

「わぁすごい!」

馬車を降りた瞬間目に映ったのは
辺り一面に咲いている満開の薔薇だった

「驚いたか、この薔薇はローレン魔法学校
の名物なんだ
初めて見た人は必ず驚くぞ」

アレンが説明し終わって横を向いた時は
もう誰も居なかった

「イ、イヴーー!どこいったんだ」

辺りを見回してもイヴの姿は無い
アレンは焦り走ってイヴを探しに行った



< 14 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop