農民生まれの魔女

この後先生達がイヴの居る事に気付いて
授業の輪に加わる事になった

「皆さん今日から新しい生徒が加わります」

妙にテンションの高い先生に背中を押されて
私は挨拶をした

「今日からよろしくお願いします
イヴ・パルソンと申します」

イヴは御屋敷でみっちり習ったお辞儀を完璧にこなした
イヴが顔を上げると驚きと憧れの眼差し
で見られた

イヴはその理由が分からず首を傾げた

「さあみんな実技試験に戻って」
先生がそう言うと名残惜しそうに、みんなはその場を去っていったが
中にはイヴの所に戻って来て

「私伯爵家のナリア・ルビソンと言います
以後お見知りおきを」

イヴの目の前に立って丁寧にお辞儀をして来た子も居た

「パルソンさん、始めは基礎魔法から始めましょう
学校に行くのは初めてとお伺いしておりますので、まず最初にこの瓶達を手を使わずに箱に入れて下さい

先生がこれ位出来るでしょうオーラを出しているので
イヴは形だけやってみたが
出来る筈も無く
瓶は微塵も動かなかった

手をかざしている時イヴは違和感を感じた
魔法を使った事が無いと言っても
感覚は解っていた筈なのだ
魔力が奥でつっかえる様な気がして気持ち悪い

イヴの行動に、先生達や実技試験が終わっている子達は目を丸くした

「パルソンさんどうしたの具合でも悪いの?」

先生達はイヴが基礎魔法も使えない事実を信じたくないらしい

「あの…私魔法使った事があまり無くて…」

イヴは絞り出すようなか細い声で
下を向きながら言った

そのイヴの声を聞き取った生徒から波紋の
ように魔法が使えない事が広まった


「うそでしょ、まさかあのパルソン家の子が
落ちこぼれなんて」

「私、お母様に聞いたんだ
パルソン家が養子を取ったって」


イヴは後ろの方から聞こえてくる
小さな声に心を掻き乱された



< 16 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop