俺様副社長のターゲット
私の言葉は尚輝の低い声に遮られた。



「今度こそ、守ってやる。」



「尚輝先輩には無理。それに私は普通………。」



「逃げて………普通、普通って。本当にその男が好きなのかよ!」




尚輝の怒鳴り声が響いた。私は口を次ぐんで尚輝をじっと見つめた。



「結局、過去に囚われてるだけだろ?女達からまた虐められるって………。だから本当に好きでもないのに付き合ってるんだろ。」



「ち、違う。ちゃんと………。」



「今の彼氏がモテる奴なら付き合ったか?結局、モテる奴なら付き合ってないだろ。」



「…………。」



「いつまでも過去に囚われてるんだよ。高校生と社会人じゃ違うんだ。」




目の前に座る尚輝を見据えた。



「尚輝先輩には分からない。毎日、毎日、私がどんなに言われたか。『別れろ!』『昨日は楽しかった』『一年は一年と付き合え』『子どもじゃ楽しめない』………。」



「…………朱里。」



「毎日、毎日、学校が嫌で。でも尚輝先輩はいつかは助けてくれるって。」
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