俺様副社長のターゲット
私の瞳から溢れ落ちる涙が頬を伝い落ちていく。



「でも………何ヵ月経っても先輩は助けてくれなくて。」



「…………。」



「こんな想いをしてまで付き合う意味はあるの?って。だから私は二度と同じ想いはしたくない。」



「…………。」



「目立つ男は私を苦しめるだけ。だから今の彼氏が合ってるの。女子社員に知られても妬まれない、嫌な言葉も言われない。」



私は手で頬を伝う涙を拭った。



「すみません、泣いたりして。」



「副社長、酷い。そんな男だったの?」



隣に座る伊藤さんの声が静まり返る部屋に響いた。



「そうですよ、副社長。」



「副社長が悪い。」



次々と秘書課の先輩方が尚輝に駄目だししている。



「でも………松井さんも囚われすぎだよ。副社長の周りにそんな卑劣な言葉を言う常識のない女はいないと思うよ?」



「でも………。」



「佐伯商事だよ?そんな非常識な社員はいないよ。」



伊藤さんの明るい声に周りの先輩方も大きく頷いている。
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