好きだと思うんですがっ!?


喉の奥で固まった言葉を吐き出そうとする前に、星野くんはあたしの下がった顔を覗き込みながら、こう言った。


「もう一度だけ、聞くから。今度はちゃんと、口に出して言うから」


星野くんの瞳から、とても強い熱を感じる。

いつもみたいにふざけた様子の目じゃなく、さっきみたいに冷たい目でもない。


「だから浮田も、ちゃんと答えて」


星野くんの瞳が、とてもとても熱くて、あたしは目を背けたくなる。

だって、その目から伝わる熱で、あたしの頬は高揚し、胸の奥は焼け焦げるように苦しい。

だけど、あたしは目を背けない。逃げずに踏ん張って、星野くんを見つめ返した。

すると、星野はまるでそよ風に乗せるようにして、こう言葉を押し出した。



「俺は、浮田 真依子が好きだ」



あたしの手を引いて、真っ直ぐ見つめた
まま。

そう言った後、今度はあたしにそっと耳打ちをするように、こう一言。



「……浮田は俺の事、好き?」



あたしは熱にほだされたのかもしれない。

星野くんの熱を頑張って堪えすぎたせいか、あたしは返事をする前に、涙が頬を伝ってこぼれ落ちた。



「……好きだよ」



やっと言えた。やっと、伝えられた。

言葉はずっとあたしのお腹の中でくすぶって、留まって、もう言葉に出来ないんじゃないかって、思ってた。

もう吐き出す事さえ叶わないんじゃないかって、思ってた。


「あたしは、星野くんが好き」


だからかもしれない。普段のあたしの行動からは考えられないけど、あたしは大胆にも星野くんに抱きつきながらひたすら言葉を放ち続けていた。


好き。

大好き。

ずっと、好きだった。


消化できなかった言葉達は、まるで羽ばたくみたいにどんどん溢れでてくる。


「好き、あたしは星野くんが好き」


あたしが意識する前から。

意識した後はもっと強く、もっと大きく、好きという気持ちが膨らんでいった。


「あたしは星野くんの事が、ずっとずっと、好きだった……」


言葉と涙は溢れ出したら止まらない。自分ではなかなか制御が出来なくて、星野くんの胸の中に顔を埋めて止めようとすると、星野くんは優しくあたしの背中をさすった後、今度は頭を優しく撫で始めた。

細くてゴツゴツとした大きな手。


バスケ部なのに、ピアノでも弾いてそうな、繊細な手で、そっとーー。


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