好きだと思うんですがっ!?
電車を乗り継ぎ、街に着いてから人の多さに圧倒されつつ映画館を目指す。
さすがは週末。平日では考えられないほどの人、人、人。
オシャレに着飾った人々の間を練って、あたしは映画館の入り口に到着した。
ケータイ画面で時刻を確認すると、まだ待ち合わせの10分前。
映画館に展示されてる上映中のポスターはガラス張りの中に貼られている為、そのガラスを使って髪型をチェックする。
人混みに揉まれたせいで乱れてないか……そんな風に確認してる時、背後から星野くんの声が聞こえた。
「よっ」
その声に惹かれるみたいに振り向くと、そこには私服姿の星野くんが立っていた。
「よ、よぉ!」
しまった。浮ついた。
いつも制服姿しか見たことないせいか、私服姿の星野くんに圧倒されてしまった。
……っていうか、その前に。
「なんか……ペアみたいだね」
星野くんの着てるコートもチェスター。あたしより長いダブルだけど、身長差がある分同じように見える。
あたしは紺色、星野くんはグレー。
コートの中は紺色のフード付きパーカーと、タイトな黒パンツを合わせてる星野くんは、学校では知らない一面というか、ちょっぴり大人びて見える。