溺愛されてもわからない!

「夢君?」

「何?」

振り向いた顔が男らしい。
鋭い一重の目をしているけれど
笑うと人懐っこくなって
可愛くなるのを知っている。

最初は怖かった
でも
とっても優しい人。

「雫さんってどう思う?」

「雫って井口?」

「うん」
緊張しちゃう。

「別に……同じクラスだから、普通に話しかけられたら話すよ。最近は前より話すかな」

うん。雫さん頑張ってるもん。
本当はドキドキしながら話しかけてるんだよ。
恋する乙女は一生懸命なんだよ。

「こっちに来てから、すごくお世話になってるんだ」

「いいヤツだよな」

「うん。すごく綺麗だよ。綺麗で人気あるけどエラそうにしないし、こんな私にも優しいんだ」

「仲よさげ」

「うん」

「井口がどうした?」

「雫さんが……」

どうしたんだろ。わかんない。
私は何を言いたいのかわからない。

雫さんからは『協力して』って言われていて、一生懸命な雫さんの姿を見て何かしてあげたい気持ちと、自分が夢君を好きな気持ちが混乱してる。

一夜にアドバイスされて
どうにかしなきゃいけない!って自分で自分を追い込んでるけど
< 191 / 442 >

この作品をシェア

pagetop