溺愛されてもわからない!

「すみれーっ!」

組長が一夜と夢君を突き飛ばし
私をふたりから奪って強く抱きしめた。

「大丈夫か?ケガはないか?痛かったか?怖かったろう。かわいそうに」

「おとうさーん」

ふたりで号泣。
泣くと頭が痛いよー。
殴られたのがまだ響いてる。

「手錠されたのか?あいつら……」
怒りの組長モード。
その時
田中さんが静かに現れ

「奴らどうしましょうか?このまま沈めますか?臓器売ります?薬に漬けます?腕を折ったのでマグロ船には間に合いませんが」

普通に言わないでよ。
夢君の表情が消えて
顔色変わってるし。

「うちのすみれをこんな目に合わせて、呼吸する価値もない。そのまま……」

「おとーさん!お父さんお父さん!殺しちゃダメだよ。ダメ絶対ダメ。悪い事はしちゃダメ」

あぶないあぶない。
気力を振り絞って私は必死で言う。

「骨折ったらもういいよ。私も襲われてないし。もう二度とやらないって約束させて」

「いいのか?」

「うん。もう忘れたいからいい。早く帰りたい」

「すみれがいいならそうしよう。田中!裸にして山に捨てろ」

「しかし組長」

「すみれがそれでいいって言ってるから、それでいい」

ありがとうお父さん。

でもこの冬に裸で山に捨てるって

エグいなぁ。

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