宇宙の彼方─soranokanata─




「えーっと……茜ちゃん」


玲音は引きつった笑顔で、茜と向き合う。


「はい!どうぞ茜と呼んでくださいね」


再びにこっと背後に花をしょったような笑顔を見せる茜。

あくまで純粋だが、どこまでも眩しすぎる。


その純粋な笑顔にうっと一瞬罪悪感を覚えるが、

すぐに相手が幽霊だと思い出し、

玲音ははっきりと笑顔で返した。



「出ていってください」



「えっ!玲音さん!この流れでですか!?」


「むしろこの流れで出て行け

と言われないとでも思ってたの!?」


「いや、だって、私ここまであなたのことヨイショしてるのに、

めちゃくちゃ褒めましたよね!?え、褒め損ですか!?」


「ヨイショしたとか言っちゃダメなとこ」


「玲音さん……

私みたいな美少女を真夜中に外にほっぽり出すなんて

心配じゃないんですか!?

私が不審者に襲われて

『ぐへへぇぱんつみせろぉ♡』

とか言われてもいいんですか!?」


「やけに具体的だね」


「しかも私がその日に限って女の子の日で

相手がさらに興奮しちゃったらどうするんですか!?」


「さらに具体的だね

あと君死んでるんだよね?!」


「私のような美少女にそんな仕打ちができるなんて……」


「いやあなたの私の扱いの方がひどいと思うな」


「……玲音さん……」



……どうやらこの人(?)、

まるで人の話を聞かないタイプのようだ。

もはやこの子は本気で玲音に頼み込んでいるのだろうか。


玲音ははぁ、と溜息をつき頭を左右に振る。




「……とにかく、出ていきなさい」


「……………そう、ですね、すみません……


あつかま、しいですよね、初対面の幽霊がいきなり


面倒見てくださいだなんて……」



「あ、いや別にそこまで言ってないけど……

ていうか初対面じゃなくても

幽霊はできればお断りなんだけど」



「……でて、いきます


……すみませんでした……」


茜は

やけにしょんぼりと哀愁漂う背中を玲音に向けると

ふらりふらりと玄関へ向かって行った。


玄関前でもう1度振り返ると

儚い笑顔を見せて、弱々しくおじぎした。


「短い間でしたが、ありがとうございました……」



静かにドアがきしんで

ぱたん、とゆっくり閉じた。
















静寂が部屋の中を支配した。






……













……











……










……
























「……だあああああ!!!

もう!!いいよもう!とりつけばいいでしょ???!!」


「玲音さん、ほんとですか!?」


玲音は玄関に向かって叫びながらどすどす歩いて行き、

ドアをばん、と開くと、そこには茜が立っていた。


「……ってうわぁ!なんでそんなとこたってんの!?」


「え、いやまぁなんとなく。

とにかく、玲音さんそれはほんとなんですね???」



「このままじゃ私が悪者みたいじゃん、もういいよ……」


「ありがとうございます!」


「ていうか、ほんとに私以外には見えないんだよね?」


「はい!」


「で、詐欺とかじゃなくてほんとに死んでるんだよね?君」


「はい!」


「で、私のこと呪ったりしないんだよね?」


「もちろん!


玲音さんに近づくやからは私が退治しますよ!」


「いや、それは結構です」


「そうですか?」


「……とりあえず、大人しくしててくれれば……」


「はい!さすが玲音さん!

なんて心優しい方!」


「いやもう君の本性知っちゃってるから

今更持ち上げなくてもいいよ……」


「いえいえ!玲音さんに心から尊敬しますよ!


もう一生ついていきます!」


「それはやめて」



にこにこと可愛らしい笑顔の茜をみて

またため息をつくと、玲音は心底疲れた顔で

これはとっとと成仏してもらうしかないと

心の中で呟いた。


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