ダブルベッド・シンドローム
電話をしていると、ベランダの窓が開いて、慶一さんがやってきた。
背後から私の肩にブランケットをかけて、そして、そのまま抱きついてきた。
『でも、もう私だけじゃ無理だわ。あのおバカな旦那に、私が実家にいるって伝えてくれる?実家の電話にかけなきゃ出ないって言ってやって。』
「自分で伝えればいいじゃん。」
『嫌よ。』
「素直じゃないなぁ。」
『そんなの今さらじゃない。』
「分かった分かった。伝えるよ。」
私の鎖骨の辺りで留められている慶一さんの手に、私も手を添えた。
そして温かい胸に背中を預けて、空を見ながら、目を閉じたのである。
これが愛でなくて何なのか、私は聞きたい。
─洞窟にこもったままでいるのなら、そこを出てみるといい。
人を愛するのなら、私たちはいつか、そこを出なければならないのだから。
待っている愛に、たどり着けるように。
end


