Turquoise Blue 〜空色のベース〜

いつの間にか

『彼』が 横にいない事に気がついた


「 え… 」



立ち上がって
ぐるぐる辺りを見回す



ガーゼシャツの気配が無い



午後になって駅には
人がいっぱいになっていて

ザワザワとか

笑い声とか

アナウンスの声とか

幾つもの人の歩く靴音が響く

今まで聞こえなかったのに
突然に襲い掛かって来た





−中学生位の女の子と
デパートの袋を
いっぱい持ったおばさんに
お父さんらしき人が手を振った
…待ち合わせみたい

手に持ってるの
映画のチケットっぽい
笑ってる


改札では
浴衣着た親子が出て来た

…どっかで花火大会なのかな



みんな 誰かと居る



………何で私

こんな駅の端っこで
ずうっと座り込んでるんだろ…








− エレベーターに向かう道の
高い天井から

青い空が見える −





急に寂しくなって
どこを見るでもなく
慌てて携帯を開いた





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