Turquoise Blue 〜空色のベース〜


ユリちゃんがくれた
スポーツ飲料を
一気に飲んだ

走りすぎて
頭がガンガンする

階段を降りて
連れられて入った控室は、
朝より、ごった返していた



それでも端の一角に

私達の荷物が置いてあって
折り畳みの椅子が
いくつか置いてあった


シノが私の汗を拭いてくれて

朦朧とした中

「皆 ごめんなさい」と 呟いた


マキちゃんが
私の頭をポンポンと、叩く

「ううん
あのヴォーカルの人が
駅に連れて行くからって
教えてくれてたから

朝自分が、荷物いじったから
責任あるからって」


「……全然そんな事ないのに…」


「赤池さんも、
あのベーシストの青山さんも
ギタリストの緑川さんも
後、責任者の松田さんもね

皆、心配してくれてたよ

…言うなって言われてたけど
松田さん
もし無かった場合って
ショートスケールのベース
どこからか調達して来てくれてたんだよ」



「………嘘ぉ……」


「お祭りが、嫌な思いで終わるのは
可哀相だからって」



「…御礼…言って来る…」


「今、忙しいと思うから
後にした方がいいと思うよ

電話で先にさっき
御礼したから」


「…………」




「何? その子、具合悪いん?」

「あ、ちょっと用事で駅行ってて
走って来たもので」


「あら〜 何か知らんけど
氷たくさんあるから
あげようね
頭に乗せておきや」


「すみません」


…香水のにおい


皆 御礼、言ってる


あわせて自分も
ありがとう、と息を吐いた


…頭が冷たくて気持ちいい


「……氷だ……」


「うん ランキャストの
ヴォーカリストさん」


「…蘭さん……」


「お。せやで 大丈夫か?」


「蘭さん…
歌、色っぽくてカッコイイ…」


「……スマン。メンバーの皆さん。
ちょっとこの子貰うわ」

ダメーー!!って
皆叫んでる


色んな人の、笑い声がした




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