それは薔薇の魔法~番外編~
その花と出会う
10年前ーーー
「どうしたのかしら…?」
「うーん…」
アランに嫁いで愛おしい人との間に愛すべき子も生まれて、私はこれ以上もないくらい幸せな日々を送っていた。
その中でこの城で一番を誇るほどに有名な薔薇園が最近あまり元気がないように見えて、その原因もわからないのが最近の悩みだった。
アランにも聞いて一緒に考えてみたけれどわからないのよねぇ。庭師も懸命にお世話をしてくれているのだけど。
ちなみに愛する息子は以前不用意に触れてはいけないと言ったのにそれを破って薔薇の棘で怪我をしたので分別がつくまでは出禁にしている。
アランは過保護だと苦笑しているけどもし棘が目に入ったり口の中に入れたりしたら取り返しのつかないことになるんですからね。あとお仕置きもかねてですわ。
「あいつがいれば一発で元気になること間違いなしなのだが…」
「あいつ?」
悩んでいると思わず、といったようにこぼれたアランの言葉に首を傾げる。私が知る限りで植物に詳しいアランの友人なんていたかしら?薬草関係ならいたはずだけど、それと薔薇は別物よね。
それにアランの言い方は親しい者に向けるそれでなおさら興味が湧く。不思議そうにする私に気付いたのかアランは「あぁ」と話してくれた。
「そういえばあやつがここに来たのはシェイリーが来る前だったからな。知らぬのも無理はない」