君に初恋………ー母の遺した宝物ー
「大丈夫だよ、私……離れないよ」

案内された医務室で、壊れそうな彼を抱き締めた。



震える手を優しく握り、何度も、大丈夫、大丈夫、と言った。



震える手が、ピタリと止み、野性的な瞳も柔らかい瞳に戻ってくのを感じて微笑む。



小さな声で、彼は呟く………


“ありがとう”と…………



私は嬉しくなって寄り添い彼の頬にキスをした。


誰もいない空間………


私達しかいない様な空間。


笑い合い何度も何度も


唇を押し当てる。


幸せな空間がそこにあった。。
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