― BLUE ―
1.俺様男がモテる?




キライ。
雨なんてキライ。

猫毛の髪はセットしても言う事きかないし、鞄や制服が濡れて重たいし。

あたしの歩き方が悪いせいか、靴だけじゃなく靴下まで濡れてしまう。傘も面倒だ。

それに"あの日"も雨だった。


"あの日"
遼汰と別れた、あの日。傘を持っていたのに、ずぶ濡れになってしまった日。


「……」


——ああ駄目だ。思い出してしまうよ。ただでさえテンション低いのに。


寝起きってわけでもないのに、視界にも頭にもぼんやり雲がかかったような状態のまま、ようやく学校へと着く。もう何度目かわからない欠伸を噛み殺した。

だけど洩れ出てくるため息は隠せない。

傘についた雫を落とし、それを丁寧に畳み校舎へ足を踏み入れた。


だるい。
あの子と同じクラスなのも足取りが重くなってしまう原因のひとつではある。


あたしには中2の頃から付き合ってた彼氏がいた。けれど高校は別々なところへ進学が決まり、だけどあたしはなんの根拠もなく離れても上手くいくと思っていた。

それに幼馴染みの咲とは同じ学校なのだし、しかも同じクラスという、これからはハッピーな高校ライフが待ち構えていると信じて疑わなかった。

それなのに"他に好きな人が出来た"というベタな理由でフラれ、そして好きな人というのが親友であり幼馴染みの咲だった件。

つまり"あの子"は咲のこと。ゴロゴロと階段を転がり落ちた気分だよ。

やばいよね。人生いいことなさすぎる。それともこんなのって、よくある事なのかな。

< 1 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop