彼岸花。
「ハルさんっ...!」


呼ばれた方を振り返ると、花ちゃんがそこにいた。


「花ちゃん...」


「どうして、やめちゃうんですか?」


花ちゃんは下を向いて言った。


「...僕、彼女を亡くしてしまったんだ」


僕が言うと、花ちゃんは驚いて顔を上げた。


「もう、1年も前のことだけどね」


僕は笑ってみせた。


花ちゃんまで、悲しませたくなかったから。


「すいません...そんなことも知らずに言ってしまって...」


「ううん。大丈夫だよ」


本当、この子はいい子だなぁ。


そう、思った時だった。


「私、ハルさんが好きです」


花ちゃんが、僕の目を真っ直ぐ見て言った。
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